日科技連の紹介と日科技連の活動その3:品質経営の普及・啓蒙

日科技連の紹介と日科技連の活動その3:QCサークル活動 

 今回第4回目のテーマは「QCサークル活動」です。皆さんの職場でも、QCサークル活動とは呼んでいなくても、仕事は一人でするものではなくみんなでサポートしながらするものですから、職場のメンバーと一緒に発生した問題を解決したり、仕事の効率を図ったりしていませんか。それがまさにQCサークル活動の始まりなのです。

 さて、QCサークル活動といえば、もともと製造業から出来上がってきたものですから、その活動は製造業が主体だと思われがちですが、最近では、サービス業、営業、行政、福祉・医療関係など様々な分野・業種でも、活発に活動がなされています。それは、各種発表大会などでもわかりますが、上記のような業種でも、競争が激化している時代を生き残るために、勝ち残るために、質の高いサービスを提供しお客様に満足してもらうことだけでなく、付加価値を感じてもらうことでリピーターを増やすことが企業の成功の鍵になってきているからだと思います。

 このように様々な業種でQCサークル活動が広がりを見せている中で、職場第一戦で働く方々と経営者の両者が、Win-Winの関係になれるようなQCサークルの新しい形が最近提唱されました。それが「e-QCC(イー・キュー・シー・シー)」と呼ばれるものです。今回は、このe-QCCをご紹介したいと思います。 

進化したQCサークル活動(e-QCC) ビジョン 

eは、evolution=進化の意味です。これまでのQCサークルからさらに進化したQCサークル活動を確立し、定着を図ることをねらいとして掲げたもので、

・「個」の価値を高め、感動を共有する活動

・業務一体の活動の中で自己実現を図る活動

・形式にとらわれない、幅広い部門で活用される活動

を目指します。  

e−QCC推進とは   

  企業、団体の内外で起こっている環境変化に対応し、活動推進の困難な状況を克服するために、e-QCCビジョンを参考にして、活動の形や進め方を工夫して改善することである。

1.業務一体の活動の中で自己実現をはかる活動

2.個の価値を高め、感動を共有する活動

3.幅広い部門で活用される活動  

QCサークル活動の基本

・経営者と小集団活動の役割とe-QCC実践のポイント

e-QCC実践のための職場別モデル  

QCサークル活動の基本     

  -QCCの具体的なお話の前に、まず、おさらいとして簡単にQCサークル活動の基本について振り返ってみましょう。QCサークル活動は、第二次世界大戦後の日本において、「方針管理」や「統計的品質管理」とともに、TQMの一角をなすものとして誕生しました。QCサークル活動の特徴は、 

1.QCの考え方・手法の勉強を通して合理的なものの見方と科学的な手法・課題解決法を身につける

2.実務について様々な知識・経験をもった仲間が話し合い・活動を通してチームワーク・信頼関係を醸成する

3.職場にある課題の解決を通して組織・社会に貢献する  

という三つの要素が、小人数のグループという場において相互に良い影響を及ぼし合うところにあります。また、これらの活動を支える、「QC七つ道具やQCストーリィなどの具体的なツール」と「サークル編成と運営に関する独自の方法」を持っていることも大きな特徴です。    

職場の環境変化     

  製造部門からスタートしたQCサークルですが、現在では営業部門、設計開発部門、管理・間接部門においてその必要性が高まっています。また、病院・福祉、市役所、ホテル、小売業などのサービス業まで広がっています。さらに、製造部門自体も、生産拠点のグローバル化にともなって、仕事の内容・組織の体制が大きく変わりつつあります。このような中、従来の延長線で活動を行っていたのではうまくいかない面が現れてきています。  

1に、QCサークル活動は個人の能力、職場のチームワークが向上し、さらなる課題の解決、業績貢献へとつながる長期的効果があります。しかし、最近では短期的な経営成果が問題にされる場面が多く、経営者・管理者のサークル活動に対する関心が薄れ、これに伴って実務と遊離した形骸化した活動になっている職場も少なくありません。経営者・管理者と一体となった、スピードのある、確実な成果を生み出せる活動に変えていくことが強く求められています。 

第2に、QCサークル活動がうまく廻るためには、個人の継続的な能力とともに、活動成果が職場・組織のノウハウとして蓄積・活用されることが重要です。しかし、最近では人・製品の変化が激しく、単に今行っている仕事の標準書を改訂しているだけでは活動の効果が長続きしなくなっています。変化の激しい中、着実な能力向上、ノウハウの蓄積・活用がはかれる形に変えていくことが求められています。 

第3に、現在の社会はどんどん複雑化・スピード化する方向にあり、単純な理論やルールで割り切れない問題が多くなっています。このような中、営業部門、開発設計部門、管理・間接部門、サービス業等の職場においても技術・技能の伝承がうまく行われなってきており、結果として様々なトラブルを引き起こしている組織も少なくありません。しかし、働いている人や仕事の特性が違うため、製造部門で行っていたQCサークル活動をそのままこれらの部門に展開してもうまくいきません。QCサークル活動の本質を活かしながら、各々の職場に合った形に変えていくことが求められています。 

QCサークル本部から示されている「進化したQCサークル活動」の3つのビジョンは、これらの職場・組織の環境変化とよく対応しています。 

 

第一線職場の環境変化

 

環境変化にともないQCサークル活動として従来の延長ではうまくいっていないこと

 

最近QCサークル活動の変革として提案されていること

・従来に比べると短期間で成果を出すことがより強く求められる

・実業務とは別の活動となっている

・全社の活動・管理者の活動と一体化できていない

・管理者が自分の仕事に追われ、QCサークルの支援を行う時間がない

TPM等に比べて即効性のない活動と見なされ、経営者・管理者のQCサークルへの熱意がなくっている

・実業務とは別の活動となっている

・全社の活動・管理者の活動と一体化できていない

・管理者が自分の仕事に追われ、QCサークルの支援を行う時間がない

TPM等に比べて即効性のない活動と見なされ、経営者・管理者のQCサークルへの熱意がなくっている

・ニーズ多様化による商品ライフサイクルの短期化

・効率化を求めた職場異動、パート・アルバイト・派遣社員の増加

・継続的な形でサークルを編成・育成することが難しくなっている

・従来の考えにとらわれた標準化しかなされておらず、改善の成果が長続きしなくなっている

・変化に対応できる柔軟な活動形態

・小集団活動を個人の継続的な能力向上と密接な連携をもって進める

・小集団活動の結果(ノウハウ)が組織の中で活かされるようにする

・開発部門、営業部門の経営における重要性の増加

・生産部門の海外移転・分社化による間接比率の増加

・社会における第三産業の比重の増加

・顧客ニーズを把握し、価値創造を行う活動が求められ、既存のツールや手順では対応できない

QCDSME 全ての改善が求められているが、品質改善のイメージが強く、製造以外に広げるのに抵抗がある

・対象部門を開発・営業に広げる

・スタッフ活動(管理・間接)を含める

・必要に応じて新しい手順やツールを積極的に取り入れる

経営者と小集団活動の役割とe-QCC実践のポイント     

  下図は、e-QCCの3つのビジョンを中核にして、どのような環境変化にも生き残っていける組織経営のあるべき姿を、経営者・管理者の役割、e-QCC、すなわち小集団活動の役割の2つの関連に着目して模式的に表したものです。 

激しい環境変化を生き残れる効果的・効率的な経営を実現するためには、経営者・管理者が環境の変化と組織の現状を捉えた上で戦略を立て、組織として取り組むべき重要課題を発見・整理することが必要です。しかし、これらの戦略や課題の整理が本当に活きたものとなるためには、各々の職場でこれらを踏まえた具体的な活動が展開されなければなりません。経営上の課題を方針展開のしくみを通してe-QCC活動のテーマにつなげること、密接なコミュニケーションが可能な少人数によるe-QCC活動の中で個の能力を育成・活用し、形にこだわらないスピードのある活動を実現すること、得られたノウハウ・新たに明らかとなった課題を組織として共有・活用し、次の活動につなげることが重要です。これらのことが一つの「しくみ」として行われてはじめて目に見える成果が相乗的に生み出されることになります。 

  

e-QCC実践のための職場別モデル     

  各々の職場でe-QCCを実践するためには、具体的な活動の内容をもう少しはっきりさせておく必要があります。しかし、あらゆる職場に共通するモデルを作ろうとすると、各々の職場の持つ特徴を無視した、役に立たないものとなります。共通する本質を押さえながら職場毎に必要な変形を行う必要があります。職場の種類としては「製造」、「サービス」、「営業」、「開発・設計」、「管理・間接」の5つを取り上げました。   

  製造職場では経営成果との関連付けや変化への対応が強く求められており、方針管理と小集団改善活動を連携させ、その中で個人の成長や自己実現、職場の活性化がはかれる推進が強く求められています。グループの作り方を流動化させるとともに、それにあわせて個人別の能力評価を進める必要です。管理者・監督者の果たす役割が従来にもまして重要になってきており、そのような役割を果たせる管理者・監督者の意識変革と確保が成功の鍵となっています。 

サービス職場では、複数の専門職種が協力して業務を遂行しており、この職種間の壁が経営成果をあげる上でも、プロセスの改善をはかる上でも大きな障害となっています。トップや各専門職種の責任者によるリーダーシップの発揮が不可欠であり、これらの人がCS向上や事故防止など、全職種が納得できる目標をねらいとし、テーマ選定とチーム編成、得られたノウハウの共有・定着に積極的にかかわることが求められています。また、製造と求められる改善の手法が若干異なっているために、業務に共通する各々の課題に適した手法をパッケージ化して教育することが改善を加速し、個人の成長を促す上で有効です。 

営業職場では、業務目標達成のための最適な小集団がすでに構成されていますが、そのような組織を母体とする活動を通じて、プロセスの改善、個人の成長がはかれる取り組みが求められていると言えます。業務目標とプロセス・個人別能力の現状の両方をふまえたテーマの選定と得られたノウハウの共有・活用がポイントであり、後者については管理者に加えて推進部門の果たすべき役割が少なくありません。推進部門には新しい営業のプロセスや手法をまとめ、これらを現場に伝えることのできる能力を持った人が求められています。 

設計開発職場では、新製品ごとに新しいプロジェクトチームが形成され、その開発終了と同時に解散することを繰り返しており、一人一人が独立した存在となりがちで、これがプロセス改善やノウハウの共有、個人の能力開発をはかる上での障害となっている場合が少なくありません。市場品質や開発生産性に関する中長期的な目標を明確にした上で、必要なチームを適宜編成しながら職場全体でその達成のために必要な課題を共有し、解決に取り組み、得られたノウハウを継続的に活用していく推進のしかけが求められています。 

管理間接職場では、経営成果を目指した部門横断チームによる活動が中心となりますが、そのような実践の中から着実な経営成果が得られ、将来より大きな課題に挑戦できる人材の育成がはかれる取り組みが求められています。 

「営業」のモデルと「管理間接」のモデルは形成される小集団と業務組織の関係で見ると対照的な位置にあります。また、「設計開発」のモデルと「サービス」のモデルは、専門職種に対する帰属意識から見ると対照的な位置にあります。これらの各々のモデルに基づく活動の具体的な推進方法についてはまだ明確になっていない部分も少なくありませんが、各々の企業・組織においては、既存の枠にとらわれることなく、幅広い部門・業種において、小集団改善活動の本質と職場の特徴を理解した推進を展開することが必要です。また、QCサークル本部・支部・地区では、各々の組織におけるe-QCCへの取り組みを促進するために、どのような支援を提供すべきか検討をはじめています。 e-QCCの理解や適用を促進するための行事、e-QCC推進のための方法論・ツールの開発・提供、支援組織体制の整備など、様々な面からの議論が進んでいる。このような各企業・組織での取り組みやQCサークル本部・支部・地区での検討によって、我が国の小集団改善活動が新しい時代を迎えることを期待したいと思います。 

もし、QCサークルに関してさらなるご興味がありましたら、下記URLまでアクセスしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。 

以上、ご不明な点、ご意見がございましたら、私中西宛(h-nakanishi@juse.or.jp)までご連絡ください。

技連のQCサークルとは http://www.juse.or.jp/qc/index.html

 

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