ISO22000と5Sについて

■はじめに

食品安全管理システムである国際規格“ISO22000”は2005年春には制定される運びと聞いています。食肉偽装事件や食中毒事件など食品業界の話題が巷をにぎわせる機会が多くなっていることにも影響されての制定のようです。 

HACCPって何?

 すでに食品業界にはHACCP(ハセップ)という管理システムがあることをご存知の方は多いと思います。この管理システムの発祥は米国のアポロ計画に端を発しています。 

1960年代が終わる前に月に人類を着陸させ、無事地球に連れ戻す」米国第35代大統領ジョンFケネディの演説で始まった月着陸有人飛行計画(アポロ計画)ではHACCPは宇宙船の中で飛行士が食中毒になったりしないよう「食の安全性」を確保するために作られた管理システムだったのです。 

ご存知のように計画は大成功し1969720日アームストロング船長が月面への第1歩をしるしたのも、実はHACCPがあったからこそなのです。 

宇宙船内のみの管理システムは、しばらくの間 話題になることはなかったのですが、1980年代になって米国中西部でハンバーグを原因とするO157(腸管出血性大腸菌)による食中毒事件の対策検討の過程でHACCPの有効性が評価され、やがては世界各国の食品業界に浸透することになりました。 

HACCPの統一化とISO22000

HACCPを採用した国々は、それぞれ自国の状況に合わせた制定を進めたため、世界で統一された規格ではなく国により千差万別な内容となってしまいました。(日本のHACCP1995年に食品衛生法に取入れられました。)

 国別に異なる基準のHACCPに従っていることは、グローバルな環境が進展すれば当然問題となってきます。

またHACCPの持っていたいくつかの欠点(たとえば経営者の責任の明瞭化や関連する社内・社外との連携などマネジメント部分の欠如)を補うべきとの動きもあり、マネジメントシステム機能を加味した規格として“ISO22000”の制定へと動き出したのです。 

 

ISO22000と5S

ISO22000は簡単な言い方をすれば食品安全基準であるHACCPと品質ISOであるISO9000のマネジメントシステムを合体させた規格といえます。

基本的なレベルでは、ISO9000の目的は「5S」即ち整理・整頓・清掃・清潔・しつけの徹底であり、またHACCPの目的は「食品の安全性」にあり、米虫節夫さんのことばを借りると「洗浄」「制菌」にあります。洗浄・制菌はいずれも5S推進の手段であり、5Sの体系の中で括ることのできるものです。つまり、5Sの徹底はISO22000の目的でもあるのです。(敢えて“基本的なレベル”と述べましたが、基本がもっとも大切なのです。) 

 

ISO22000のこれからの展開予想

「食品の安全」は単独企業の努力だけでは到底確保できるものではありません。身近な牛乳を取ってみても、生産者から消費者にいたるすべての流れ(サプライチェーン)全体をしっかり管理して初めて実現できるものです。さらに生産者であっても、搾乳する牛の生育如何によっては、感染性の疑いが発生するかも知れません。このようにISO22000取得の対象となる企業は、大企業はじめ零細企業にいたるまで実に広範囲になる可能性があります。しかし大切なことは守るべき規格に登録していることではなく、基本レベルである5Sをきちんと実践できているかなのです。

クリントン前大統領はHACCPを評し“Food Safety ,From Farm to Table”と述べています。人に最も身近な食品であるだけに5S実践の如何が人類の将来を変える可能性までも持っているといえます。

 5Sアジア事務局 棚田譲二

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