ごま豆腐、集中営業で倍増!

高野典子
株式会社企画塾
マーケティングコンサルタント

E−mail:takano@kjnet.co.jp
 

●ごま豆腐の特性と市場規模

ごま豆腐という食品は、玉子や豆腐や納豆のように、食卓に必ず上るものではありません。もともと精進料理、料亭の料理などで使用されており、一般の食卓にのぼりはじめたのは実は最近のことです。市場規模は40億円といわれ、製造メーカーは小企業ばかりで大手は参入しない市場です。

●(有)幸伸食品とごま豆腐の変遷

(有)幸伸食品は、福井県の永平寺町にあります。永平寺のおいしい水でつくったごま豆腐製造販売している、従業員30名の小さな会社です。財団法人食品産業センター主催の優良ふるさと食品中央コンクールで4年連続受賞し、その味はお墨付きです。

 (1) ごま豆腐、ブームへ

当初禅宗のお寺のお土産や料亭の料理だったごま豆腐を、幸伸食品が中央市場を中心に販売を開始し、一般に流通が始まったのは95年のことです。

100円前後の商品が並ぶ豆腐売り場に、500円の豆腐など売れるハズがないという売り手側の意に反し、半年間という短期間のうちにどんどん出荷量が伸びていきました。その後、大手量販店(スーパー)が注目し、おりしもテレビ放映でごまの効能が紹介されました。

そしてごまブームが到来。当時は爆発的に売れ、100円を切る豆腐コーナーで500円のごま豆腐が、大手スーパーではふつうの豆腐と同じくらいの数が売れるという異常事態となりました。

 (2) 価格破壊との戦い

しかし売れたのもつかの間、ブームが去ると一転、いままでいなかった大手メーカーが参入し、500円の豆腐が398円となり、198円まで価格破壊、スーパーからは、小さくして価格を下げた商品を要求されます。こうした中、幸伸商品は、値下げ、仕様変更には応じず、通販(DM、インターネット)を開始しました。が・・・。通販サイトでの売上は月30万から50万程度、プレゼントキャンペーンで3,000名の名簿を集めましたが結果、売上に結びつかない応募はがきだけが残りました。

 (3) ターゲットを変え、営業を集中

そんななか、幸伸食品の久保専務は、金沢で開催された企画塾に参加。なんとか売上を立て直そうと、スーパーでの試食販売を行います。試食販売を行うと一日1店舗あたりの売上が平均12個が、販売経験のない自社製造部門社員による試食販売でも、一日100個販売ができました。しかし試食販売はマネキンの費用がかかり、採算が難しいので断念。その間も月一回は東京などに営業に出向き、15分の面談に丸一日を使うという、自分でも効率が悪いと思える営業を続けていました。一方、始めて間もない生協の共同購入(当時3箇所に納品)では1企画5,000個程の発注量があり、さらに1週間の納品の予定数が事前にわかるというメリットがあります。

企画塾のアドバイスは、「スーパーへの営業はやめ、生協に集中、安ければいいという顧客から、高くても健康志向の顧客にシフトしたほうがよい」というものでした。一般的にはるかに大きな市場(大手量販店:スーパー)を捨て、小さな市場(生協)を狙うというのは、非常な勇気がいることです。若干のためらいを感じつつも、久保専務は生協の共同購入へ、本格参入のための詳細な営業プロセスを組み立て、営業を開始しました。結果、なんと3ヶ月で全国生協カバー率76.7%を数え、1年後には16万本の売上が倍増、32万本へ飛躍的に伸びるという結果となり、現在もなお伸び続けています。

 (4) CTPTの徹底で確実に売上を上げる

 下図(図表1)は企画塾が提唱する増販増客ノウハウ「CTPTマーケティング」という考え方です。 マスマーケティングでは、市場から確率的に収益を得ますが、一方「CTPTマーケティング」は、最初マスマーケティングを活用し、見込み客を獲得、その後ひとりひとりのお客様(個客)に対して関係構築に入ります。関係構築が収益の確率を高め(増販)、その累積が個客との継続性を高めます(増客)。 幸伸食品の場合、C(主力商品)は、ごま豆腐。クオリティが高い優れた商品です。次にT(ターゲット顧客)は、量販店の顧客です。最初は高価格でも販売できたのでCTが合致していたのですが、次第に低価格志向に変化していき、CTに不整合が起こりました。そこで、T(ターゲット顧客)を高価格でもクオリティを重視する生協の共同購入顧客へシフトし、ここに集中しました。ここでCTが改めて整合性がとれたのです。 しかし今は、CTが合致すれば売れるという時代ではありません。確実にTに届く仕組みづくりが必要です。そこで久保専務は次ページのように、生協の共同購入担当者に向けた詳細な営業プロセス設計(Pの設計)を行い、使用するツール(T)も徹底しました。

 このようにCTPTが合致すると、見込み客の減少は食い止められ、時間とともに顧客化が進み、大きく増販増客が果たせたのです。

●プロセス(P)とツール(T)の重要性 

PT(営業プロセスと使用ツール)の徹底により、どんなタイミングでどのようなコミュニケーションやツールを繰り出すか、ということが明確になり、当然成約率も格段に高くなります。

 (1)営業プロセス設計

 図表2は、久保専務が作成した営業プロセス設計です。

 左側が顧客、右側が幸伸食品です。

 

(以上は企業診断11月号からの抜粋です。「企業診断」本誌をご覧ください。)

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