成功の条件を探る

 

よみがえる中小企業  連載 第13回

 星 16: チャンスを活かせ

中小企業と経営コンサルタント

                ~ 成功の条件をさぐる ~

西出 三明 

(有)トスコム代表

高崎経済大学大学院非常勤講師・中小企業診断士

E-Mail: fwge1474@infoweb.ne.jp

 

 信念が成功に導く

コンサルタントとして大事なことは、信念−「私は実際にそれができるのだ」という気持ちと態度は、それをするに必要な力、エネルギーをもたらします。私の場合はいつでも社長になり代わりその企業を経営するという覚悟を持って指導に入ります。 

逆に、受診企業の立場からすると、信念の見えないコンサルタントとは付き合わないほうがよい。 また、指導事項について「まあ、やってみることはやってみるが、どうせうまくいかないだろうよ、お手並み拝見」といった態度で指導を受けないことだ。 

最近の中小企業の社長は講演会などに出向きよく勉強していて、「こういうことを知っていますか?」とか「この本をお読みになりましたか?」と聞いてくる。中には「そんなことも知らないのですか、この本の通り指導してください」などという社長もいる。 

私は、「その本がそんなによいのならあなたがおやりになればよいでしょう。それだけわかっているのなら、わざわざ私の指導を受ける必要はないでしょう。」と跳ね返すことにしている。「私には私の指導方針がある。あなたの企業がこの事例にマッチする状態にあると思われるのか。」納得行くまで話し合うことにしている。 

相互信頼が成果を導く

診断指導に入る最初の段階で、私たちは診断勧告書(報告書)を提出しますが、この報告書は一般的には企業経営者の手元にあるか経営幹部に読まれておしまいだと思います。 

ある企業では、その報告書のコピーを事業計画書が作成された後、計画書とともに銀行に提出されました。その後四半期ごとに予実績の結果と差異原因と対策を報告していました。 

こんなことをする中小企業はほとんどみたことがないと融資担当の次長は感心するとともに、2年後その企業が大型の設備投資で資金が必要になったとき、無担保無保証で1億円の貸付限度枠を設定したのでした。 

また、区役所からの依頼で診断を実施した企業の診断報告書を銀行の融資担当がたまたま訪問した企業で見て、この先生の指導を継続的に受けなさいと助言したことから継続的な顧問先となると同時に銀行から指導先の紹介をいただくことになる。 

私は、関与先の企業には、事業計画とその予実績の推移についての報告書を金融機関に提出するように勧めている。金融機関によってはそんなものの提出はいらないとか、無反応であったりするところもあるが、多くの金融機関では「中小企業でここまでやっているところはないですよ」といわれることが多いようだ。このことを続けることにより金融機関に自分の企業の状態をよく理解してもらうよい機会であり、信用力を高める機会でもあると思う。 

エネルギッシュな行動が道を開く

A社の社長は、大学の経営学部を出ていますが、父親の仕事を手伝って現場に入りきりでした。その彼が社長に就任し、私が経営指導に入りました。最初は戸惑っていましたが、さすが経営学部の卒業だけあってビジョン・事業計画の作成については難なく成し遂げました。

金融機関からも評判がよいようです。しかしその計画が思うようにいきません。

方針としては

1.構造的な不況部門の縮小と

2.主要取引先の営業・購買方針の変更にともなう取引縮小

が予想される現在「新規顧客の開拓」でした。

社長は、わかっているが体が動かないのです。 

B社は専務である息子に経営の実態を任せている会社で、その息子は高校を卒業後いくつかの会社アルバイトを経験して帰ってきて、現場を手伝っている状態でしたが。そろそろ経営者教育をということで呼ばれました。 

損益計算書の見方はわかりません。分数計算や割合といった算数も怪しいものでした。こういう経営者には実務を通して理解させていくことが重要で、約2年かかって一応の理解ができるようになり、事業計画書を作成しました。その折、70%のシェアーをしめる主要取引先の単価の改善に努力する。新規取引先の開拓の2本を柱に行動することにしました。B社の専務はA社の社長と違い直ちに行動に移りました。

しかし、主要取引先は単価改善を認めません。そこで新規取引先の開拓に入り4社との取引を開始1年後には主要取引先のシェアーは20%までに落ちるとともに、経常利益率5%確保できるようになり、債務超過の企業も明るい見通しが出てきました。 

A社のほうがもともとは財務内容がB社より優れていましたが、このまま進むとB社が逆転してしまいそうです。 

社長の喜びを、わが喜びとする 

最初にいいましたが、出会いが大切です。そして、「先生のおかげです。先生との出会いがなかったらとっくに潰れていました。ありがとうございます。」などといわれたら顧問料なんかなくても面倒を見たくなってしまうほどうれしいものです。

これも出会いと、相性のような気がします。人間同士の付き合いですから、相性が合う合わないがあります。合わない場合は無理をせず切り上げることです。

 ※ 以降の内容は同友館『企業診断』2004.6月号 P106を

ご覧ください。 

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