ISO審査は企業の5Sレベルを高める

 

よみがえる中小企業  連載 第12回

星 16: チャンスを活かせ

 

            

 

ISO審査は企業の5Sレベルを高める 

    〜中小企業を伸ばすISOの審査・ダメにするISO審査の実態〜

棚田讓二 

(有)ルーアンドルー棚田代表取締役

5Sアジア事務局代表・中小企業診断士

E-Mail: tanada@kt.rim.or.jp

 

1.5Sは企業生き残りのインフラ

 この連載の第1回(2003年5月号)で“利益の出る5S”について計画主導の5Sの実践に触れ解説したところ、5S巡回指導の現場やセミナー会場でいろいろと貴重な声を聴かせていただきました。 

「全員参加の5Sを実践したところ、複数箇所の材料倉庫を1つに集約するアイデアが出た。これを実践したら年間3,100万円の在庫圧縮が図れた。」 

「5S実践で従業員に自信がついた。結果、新規取引先からの大口・長期の受注を獲得できた。」

 「経営者は孤独で、従業員は経営者の気持ちなどわかってくれないと思っていたが、5S活動を通じてそうでないことがわかった。」

「社内のコミュニケーションが円滑になって、クレームが激減した。」など嬉しい声を聴くと同時に 「基本的な5Sも実施できていないのに難しいことにばかりチャレンジしては敗北感を味わっている」「たかが5Sと軽視する社風が変えられず、問題点を浮き彫りにできない。」などの悩みも聴かせていただきました。

 5Sは整理・整頓・清掃・清潔・しつけの「アタリマエの基本をキチンと実施していく」ことです。いかにむづかしい問題があろうとも、基本事項を確認していけば必ず問題は解決するという概念に則ったアプローチです。日本の中小企業は、これまで頑張れば何とかなる「時代」と、経営者の「ワンマン性」でがむしゃらに進んで成功をおさめることができましたが、今や「頑張っても正しい方法を選択しなければ何ともならない時代」になってしまいました。この「正しい方法」の最有力な選択肢が5Sなのです。言い替えるならば、基本のできていない企業は淘汰される時代なのです。5Sが「生残りのためのインフラ」と呼ばれる理由はここにあります。

図表1 5Sの定義と達成企業の姿

日本語表記

英語表記

定義

5Sを達成できている企業の姿

整理

(Seiri)

Sort

要るものと要らないものを区別し、要らないものを捨てること。

この企業には、ものごとの良否を区別できる能力が備わっている。

整頓

(Seiton)

Set in Order

要るものを所定の場所に置き、誰にでもすぐに取り出せるようにすること。

この企業には、間違わず・すばやく仕事ができる能力が備わっている。

清掃

(Seiso)

Shine

身の回りや職場を常に掃除し、使用前の状態にすること。点検。

この企業には、作業環境を的確に点検できる能力が備わっている。

清潔

(Seiketsu)

Standardize

いつ誰が見ても誰が使っても不快感を与えぬように整理・整頓・清掃の3Sを維持すること。

この企業には仕事をルール化・標準化できる能力が備わっている。

しつけ

(Shitsuke)

Sustain

決められたルールを守るように習慣づけること。

この企業には、ルール・標準に従って正しく仕事をこなし、発生する問題に対して改善・改革活動が出来る企業文化が備わっている。

 2.5S推進の悩みは”継続性”にあり

 5Sの存在を認識している企業の多くは5S実践にチャレンジし、それなりの成果を体験しています。また、各企業とも一様に5Sの達成状態を維持することの難しさに悩んでいます。 

 5Sは「整理」で不要なものを排除し、「整頓」ですぐに取り出せるような効率的な環境整備を行い、「清掃」を行うことで不備のないことを点検する一連の流れがあるわけですが、その仕上げとして「清潔」では「整理・整頓・清掃」の行為を標準化・ルール化することになります。 

では、5Sを維持・継続していくには“ガンバロウ!”を唱えるリーダーを中心として“精神論”で支えていくしかないのでしょうか?たくさんの企業が5Sを実践しながらも、受注量の変化などさまざまな環境変化の中で、いくつもの企業が5S活動を形骸化させてしまっているのも精神論を支えに進めているのが原因といっても過言ではありません。

3.ISOを取得した企業は5Sができている?

 品質ISO(ISO9001)や環境ISO(ISO14001)などの国際標準はマネジメントシステムですから、取得している企業の経営の中核としてISO*が機能することで経営効率が高まることになります。 

 5Sはこれら品質ISO、や環境ISO、さらにはTQMの基となる土台の部分(すなわち基盤)を構成するいわば“縁の下の力持ち”の存在です。ですから5Sができていない企業ではISOを導入しても折角の効果が発揮されません。更にいえば「5Sのできていない企業はISOにチャレンジする資格がない」といえますし、「ISOを取得した企業では5Sができていて当然」ということになります。(図表2)

図表2 5SとISOの関連について(1)

                      

 ※ 以降の内容は同友館『企業診断』2004.5月号 P82をご覧ください。

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